研究概要 |
1.肝細胞癌の診断に関して,超音波誘導下に肝内門脈枝を穿刺し炭酸ガスを注入する事により腫瘍内門脈血流を評価する方法(PTP-US)を開発し,雑誌「Hepato-Gastroenterology」に掲載された.肝細胞癌の悪性度評価には腫瘍内門脈血流の有無が重要な点になる.これは従来門脈造影下CTでのみ評価可能であったが,PTP-USにて簡便に評価できるようになったことが有用な点であると考える. 2.肝細胞癌の治療に関して,腹腔鏡下マイクロ波凝固療法と腹腔鏡下肝切除術について雑誌「J Microwave Surg」に掲載された.従来肝細胞癌の内科的治療としては肝動脈塞栓術やエタノール注入療法が施行されてきたが,局所のコントロールに関してはマイクロ波凝固療法(MCT)の方が有効性が高い.MCTを腹腔鏡下で施行することにより,開腹下肝切除に匹敵する局所制御が可能となる点で意義深いと考える.また,腹腔鏡下MCTと経皮的MCTの治療効果における差異について検討し,報告した. 3.肝細胞癌の基礎的研究面では,肝細胞癌のリンパ節転移を起こした患者の転移リンパ節からガン細胞株を樹立し,各種免疫組織化学的染色をすることにより肝細胞癌のリンパ節転移にnm23-H1蛋白が関与している可能性を示し,雑誌「Hepato-Gastroenterology」に掲載した. 以上,肝細胞癌に関して診断・治療・基礎的研究に関して一定の成果をあげることができた.
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