(1)Western blottingの結果、健常者トランスフェリンは約78kDaの単一バンドであったが、CDTの高いアルコール性肝障害患者では75kDaと72kDaの分子量の小さいバンドが余分に認められた。それらのバンドは糖鎖を脱離する酵素であるN-グリコシダーゼF処理のバンド(不完全処理、完全処理)と一致をみとめたことから、糖鎖そのものが欠損していると考えられた。また、5つの糖鎖結合部位を有するα1-acid glycoproteinにおいても同様の方法で検討したところ、アルコール性肝障害患者では糖鎖そのものの欠損が一部に認められた。 (2)アルコール性肝障害患者血清からトランスフェリンを精製し、コンカナバリンAカラムから非結合分画を回収し、Western blotting後に糖蛋白糖鎖検出キットで糖鎖を染色したところ、72kDaバンドが部分精製されたが、これから糖鎖は検出されず、やはり糖鎖が消失したトランスフェリンであることが判明した。 (3)コンカナバリンAを用いてELISAによるこれらの変異トランスフェリンの検出を試みたが、アルコール性肝障害のほとんどが10%以下の糖鎖変異を認めるに過ぎないことから、感度が悪く、健常者と鑑別することができなかった。
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