研究概要 |
マウスのLPS惹起肺損傷モデルにおけるアポートシス及びcaspase inhibitorの影響 ICRマウス(20g)にLPS(30mg/kg)を経静脈的に投与した。caspase inhibitorとしてZ-VADをLPS投与前後に計0.55mg/mouseを経静脈投与した。TUNEL染色では時間の経過とともに陽性細胞の有意な上昇を認めた。電顕では,6時間後に血管内皮にアポトーシスに矛盾しない所見を,24時間後では肺胞I型細胞及びII型細胞にもアポトーシスの所見を認めた。肺組織のcaspase活性は一過性のcaspase-1活性の上昇,時間経過に比例したcaspase-3活性の上昇を認めた。また肝臓では組織変化,caspase活性の変化は認めなかった。Z-VAD併用により,TUNEL陽性細胞の有意な減少,caspase活性の有意な低下を認め,マウスの生存はLPS単独投与群に比べ有為に延長した。LPS投与によりin vivoにおいて血管内皮,肺胞上皮にアポトーシスが引き起こされ、これが急性肺損傷の成因に関与している可能性が示唆された。アポトーシスの抑制によりこの肺損傷が軽減される可能性が示唆された。 同モデルにおけるFas/FasL systemの関与についての検討 C57BL/6Jマウス(18〜20g,female)にLPS(E.coli055:B5)40mg/kgを腹腔内に投与した。LPS投与後12時間の肺組織、脾細胞のRNAのRT-PCRにて正常では認められないFasLの発現を認めた。また肺組織の免疫染色では浸潤細胞にFasLの発現を認めた.Fas欠損マウス及び抗FasL抗体の同時投与にてマウスの生存は延長した。以上よりこのモデルにおいてFas/FasL systemが関与していることが考えられた。
|