研究課題/領域番号 |
10770282
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉山 容正 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (50292701)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 多発性硬化症 / plasminogen actirator / laminin / プラズミノーゲンアクチベーター / 血液・脳関門 / ラミニン |
研究概要 |
多発性硬化症においてはその発症に血液脳関門の破壊が重要な役割を演じていると考えられている。その破壊酵素としてmatrix metalloproteases(MMP)が注目され、増悪期に血液中、髄液中の上昇が近年知られるようになった。しかし、MMPは通常、proenzymeとして分泌されることからその活性化をになう酵素が重要と考えられる。その酵素の一つとしてはplasminogen activator(PA)が考えられる。基底膜構成要素の一つであるlamininが培養マクロファージがPAを誘導する。MSでの再発期は内皮細胞の障害により、lamininとリンパ球の接触が可能となり、それによりリンパ球からPAが誘導される可能性が考えられる。 われわれは、多発性硬化症患(MS)者リンパ球はlaminin刺激でPA活性を誘導するという仮説をたて検証した。MS患者と正常者からリンパ球を分離し、lamininを添加し、24時間培養しその後PA活性を測定した。その結果、lamininのみの添加では正常とMSで差は認められなかった。しかし、lamininで培養後MNNGというアルキル化剤を加えると、正常対象者に比べ再発寛解型MS寛解期のリンパ球は有意に高いPAA誘導活性を示した。また、MNNG刺激だけではPA活性は誘導されなかった。このことからMSの寛解期のリンパ球はlaminin刺激だけではPA活性は誘導されず、さらに何らかの外的刺激が加わった場合のみ、リンパ球から過剰なPA活性が誘導されることが示された。MSの急性期には様々なサイトカイン等リンパ球に刺激を加える、この状態で、血管内皮に障害が生じると、リンパ球はlamininに接触し、PA活性を誘導する可能性がある。MSの再発・寛解の機序を考える上で重要な知見と思われる。
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