研究課題/領域番号 |
10770316
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 助手 (40296108)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 血管内皮 / 単球 / 細胞内シグナル伝達 / チロシンキナーゼ / MAPキナーゼ / サイトカイン |
研究概要 |
動脈硬化の発症仮説である障害反応説(response to injury hypothesis)によれば単球と血管内皮の相互作用はその発症初期における最も重要な段階である.今回、我々は、この単球と血管内皮の相互作用により細胞外マトリックスの消化に重要なマトリックスメタロプロテナーゼ-1(MMP-1)と強力な血管拡張物質であるアドレノメデュリン(AM)が産生されることを見いだし、その産生機序について検討した.ヒト単球とヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)の共培養により、単球とHUVECの両細胞においてMMP-1の発現、産生が誘導された.このMMP-1産生は炎症性サイトカインであるIL-1βおよびTNFαの中和抗体、あるいはチロシンキナーゼ阻害剤であるherbimycinAやMEK阻害剤であるPD98059によって有意に抑制された.また、この相互作用によりチロシンキナーゼc-SrcとMAPキナーゼ(ERK1/2)の活性化が認められた.これらよりこのMMP-1産生はIL-1βおよびTNFαといった液性因子と、細胞内シグナル伝達経路としてチロシンキナーゼおよびMAPキナーゼを介していることが示された.一方、この相互作用はAMの発現、産生も誘導するが、ルシフェラーゼアッセイおよび細胞の膜分画を抽出しての検討から、このAMは主としてHUVECから産生されることを明らかとした.また、このAM産生はMMP-1と同様に一部炎症性サイトカインであるIL-1を介していた.今後、さらに詳細なシグナル伝達経路や、以前より報告してきたこの相互作用による接着分子やサイトカインの発現が同様のシグナル伝達経路を介しているかどうかを検討し、実際にこのシグナル経路を阻害することにより動脈硬化の形成を抑制することができるかを検討する予定である.
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