今回我々は、TGF-β1の心筋分化における発現様式について検討する過程で、心筋分化に伴い発現が増加するTGF-β1遺伝子・のスプライシングバリアントを発見し、生物学的解析を行った。心筋へ分化誘導したP19細胞よりcDNAを作成し、PCRによりTGF-β1遺伝子・のスプライシングバリアントをクローニングした.得られた塩基配列は既知のTGF-β1に504塩基対の新たな配列が挿入されたものであり、既知のTGF-β1とはカルボキシン末端を異にする蛋白質をコードしていると推察された。本転写産物はRibonuclease Protection Assayによっても検出された。本転写産物はマウスの胎生11.5日よりその発現を認め、成人マウスでは脾臓と心臓に多く発現していた。培養細胞では、線維芽細胞由来であるNIH/3T3細胞とL細胞に多く発現していた。組み替え蛋白を用いた実験から、本蛋白は既知のTGF-β1と同様にプロセッシングを受けると考えられた.今後はプロセッシングを受けた後の蛋白部をコードするcDNAを用いて、生物学的機能について検討していきたい.
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