研究概要 |
昨年度我々は、T細胞上に発現するCD82分子の発現量を亢進させると、インテグリンのひとつであるLFA-1の活性化が認められ、ICAM-1/LFA-1を介した細胞間接着が認められるようになることを報告した。 そこで今回我々は、この機序につきさらなる解析を試みた。まず樹立したCD82高発現Jurkat細胞が親細胞株と比較した場合、他のインテグリンをどの程度活性化させうるかをスクリーニングする目的で、コラーゲンI,フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンをcoatingしたプレートに対する各細胞株の接着性を比較してみた。その結果、CD82高発現Jurkat細胞は親細胞に比べコラーゲンIに対する接着性だけが有意に亢進していた。次にこのCD82によるLFA-1,コラーゲンへの接着性亢進が、実際に細胞表面のインテグリンのcongormationを変化させているのかを調べる目的で、各細胞をanti-CD82抗体、及びanti-LFA1抗体にて二重蛍光染色法にて染色し、これをconfocal microscopeにて解析した。その結果、親細胞ではCD82,LFA-1両分子は細胞表面に均一に認められるのに対し、CD82高発現細胞では両分子とも細胞接着部分に局在する形でほぼ同様な染色性を示した。またCD82高発現Jurkat細胞を用いてimmuno-precipitate western blot法を行った結果、同細胞ではCD82とLFA-1(CD18)がco-precipitateしていることを確認した。このことはT細胞表面のCD82を高発現させるとCD82はLFA-1と強くassociateすることを示唆させた。以上のCD82の特性を基に、我々はCD82及びLFA-1が発現している他の細胞、特に抗原提示細胞である樹状細胞への応用を現在行っている。
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