研究課題/領域番号 |
10770406
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
樽谷 勝仁 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30301261)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | GPI-アンカー型蛋白 / 表皮角層異常 / フォスファチジン酸 / 無毛 / 毛包異常 / harlequin ichthyosis / GPIアンカー型蛋白 / 角層のバリア機能 / 角層細胞間脂質 |
研究概要 |
GPI-アンカー型蛋白とは哺乳類細胞細胞膜上に広く分布する多様な糖蛋白の総称である。X染色体上に存在するPig-a遺伝子の産物はGPI-アンカー生合成の初期段階で必須の働きをしている。以前我々は組織特異的にジーンターデッティングを行うことができるCre-loxPシステムを用いて表皮特異的にPig-aを欠損させたマウスを作製した。この表皮特異的Pig-aノックアウトマウスは出生直後より皮膚が全体的に乾燥し組織学的に角層の異常が認められた。 この異常所見が角層の脂質代謝の異常からきていると考え、野生型マウスとGPI-アンカー欠損マウスの角層より脂質を抽出し、薄層クロマトグラフィーを展開することにより比較検討した。その結果GPI-アンカー欠損マウスで増加している脂質のスポットが検出された。この異常に増加している脂質がマススペクトロメーターによりフォスファチジン酸であることが同定できた。このことより表皮角層におけるフォスファチジン酸の代謝にGPI-アンカー型蛋白が関与していることが示唆された。 またこのGPI-アンカー欠損マウスは生後2-3日で死亡してしまう。そこでこのマウスの表皮をヌードマウスに移植して経時的にその表皮の変化を野生型マウスと比較検討した。その結果肉眼的にGPI-アンカー欠損マウスでは野生型マウスで見られるような毛の成長が見られなかった。組織学的にこのマウスの皮膚を観察するとこのマウスの毛包内はケラチンで充満されていた。このため毛の成長が妨げられているのではないかと考えられた。このマウスは遺伝性角化異常症の1型であるharlequin ichthyosisと類似しているため、今後その類似点、及びどのGPI-アンカー型蛋白がこの角層異常をおこしているかを検討予定である。
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