研究概要 |
まづ、マウスおよびヒト培養色素細胞の抽出物から、超遠心分離器を用いた数段階の遠心とショ糖密度勾配法を用いてサブセルラーフラクショネーションを行い、メラノソーム画分を分離・精製した(Seiji et al,1963)。このメラソノーム画分を含む全角分に対して、抗Rab2、Rab3A、Rab5、Rab7、Rab8、Rab10抗体によるイムノブロットを施行し各蛋白質の細胞内局在を検討したところ、特にRab3Aがメラノソーム画分にのみ限局して存在することが明らかとなった。また、神経細胞のシナプス小胞から精製され(Shirataki et al,1992)、Rab3Aの標的蛋白質と考えられているRabphilin-3Aや、Rab3Aの細胞質内チャペロンと考えられているRabGDIに関しても同様にイムノブロット法にてメラノソーム画分にのみ限局して存在することが明らかとなった。そこでさらに電子顕微鏡を用いた金コロイド免疫法でRab3Aの細胞内分布を検討したところメラノソームの膜上に金コロイドの集積を認めた。培養した色素細胞に対し、メラノソームを特異的に認識するMel-5抗体と抗Rab3A抗体による二重染色を行い、Rab3Aならびにメラノソームの局在をコンフォーカル免疫蛍光法で解析したところ両者の局在に一致がみられた。元来、Rab3Aは神経シナプスにおいて、シナプス小胞がシナプス膜に輸送され融合した後に神経伝達物質を放出する過程に関与していると考えられているため、私共の結果からRab3Aがメラノソームの細胞内輸送機構にも神経系と同様に関与している可能性があると考えられるため、今後もさらなる研究を展開したいと考えている。
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