研究概要 |
CD3^+CD57^+細胞は様々な炎症性疾患及び感染症、または健常人でも加齢とともに増加する細胞集団である。今回、我々は、20歳代のアトピー性皮膚炎患者及び同世代の健常人の末梢血をフローサイトメトリー法でCD3^+CD57^+細胞集団の比率を検討した。20人の中等度以上のアトピー性皮膚炎患者の末梢血中のCD3^+CD57^+細胞の比率は同世代の健常人の末梢血中のCD3^+CD57^+細胞の比率に比べて有意に増加していた。また、過去の報告のように40歳以上の健常人でも20歳代のアトピー性皮膚炎患者と同程度に末梢血中のCD3^+CD57^+細胞の比率は増加していた。次に、アトピー性皮膚炎患者及び40歳以上の健常人末梢血中のCD3^+CD57^+細胞をmagnetic cell sorting法で分離し培養し産生するサイトカインをELISA法で測定した。ともにIFN-γの産生は認められたが、IL-4,IL-5の産生は認められなかった。同様にアトピー性皮膚炎患者及び40歳以上の健常人末梢血中のCD3^+CD57^+細胞よりRNAを抽出し、RT-PCR法でmRNAの発現を検討した。ともにlFN-γの産生は認められたが、lL-4,lL-5の産生は認められなかった。以上より20歳代のアトピー性皮膚炎患者及び40歳以上の健常人の末梢血中のCD3^+CD57^+細胞は遺伝子レベルでIFN-γの発現を蛋白レベルでもlFN-γの産生を認めた。CD3^+CD57^+細胞は加齢に伴い上昇することより様々な炎症に反応し出現すると考えられる。同様にアトピー性皮膚炎というTh2typeの炎症下でCD3^+CD57^+細胞が反応性に出現しTh1 typeのサイトカインであるlFN-γを産生したと考えられる。今後の展開としてCD3^+CD57^+細胞のクローンを作成しより詳細な性質を検討する予定である。
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