研究概要 |
エンボプラキンとペリプラキンは最近明らかとなった表皮角質細胞cornified envelope構成蛋白で、デスモプラキン、BP230と類似の構造を持つプラキンファミリー蛋白に属している。デスモソーム部周辺に局在しているため、cornified envelopeとデスモソームを結びつける役割を果たしていることが想定されている。自己免疫性水疱症、天疱瘡の新しい型として、最近、腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus:PNP)が同定され、この血清は250kDデスモプラキンI,230kD BP230、210kDデスモプラキンIIならびに未知の190kD,170kDの蛋白複合体と反応するとされていた。以前の検討で、私どもは以前210kD蛋白はデスモプラキンIIだけではない可能性を指摘した。今回の研究で、まず免疫沈降法の詳細な検討で210kD蛋白が2本の蛋白バンドよりなっていることを明らかとした。また、デスモプラキン、エンボプラキン、ペリプラキンに特異的な抗体を用いた免疫ブロット法で、210kD蛋白バンドは僅かに分子量の異なる2本のバンドよりなり、大きいものはデスモプラキンIIに、小さいものはエンボプラキンに一致することを見出し、さらに、190kD蛋白がペリプラキンと同様のバンドを示すことを証明した。その後、新しい、免疫沈降法・免疫ブロット法を組み合わせた検討で、これらの同一性を確認した。さらに、エンボプラキンとペリプラキンのC末端をコードするcDNAを用いてリコンビナント蛋白を作成し、PNP血清がこれらのリコンビナント蛋白と反応することを証明した。これらの結果から、現在知られているPNP抗原がすべてプラキンファミリーに属していることが判明した。
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