研究課題/領域番号 |
10770437
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 優介 東京大学, 医科学研究所, 講師 (40232566)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Tc-99mECD / 脳血流 / 定量測定 / HIV-1 / MRI / MRS / Tc-99m ECD / MRスペクトロスコピー |
研究概要 |
HlV-1感染者では高頻度に中枢神経合併症を生じ、その評価にMRIの有用性が知られている。しかし、中枢神経合併症があってもMRIで正常または非特異的所見にとどまることも多い。脳血流シンチグラフィでは、MRIで正常でもしぱしば局所低血流域を呈することが報告されている。本検討の目的は、非侵襲的な定量的脳血流シンチグラフィを用いてびまん性および局所的な血流低下を検出し、その臨床的意義を明らかにすることであった。 HlV-1感染者に定量的脳血流シンチグラフィ、MRI、MRSを施行し、それらに不一致がみられた場合はMRIで経過観察を行った。結果として、HlV-感染者において定量的脳血流シンチグラフィを安全に施行することができ、MRI上の異常部位では局所血流低下域が観察された。MRIで正常の領域に血流低下域を呈する例もみられ、その後の追跡で、一部の例では血流低下域に一致してMRIで血流低下域が出現した。脳血流シンチグラフィ上の血流低下はMRI上の異常に先行して出現し、HIV-1感染者の中枢神経障害の検出に鋭敏で高い信頼性をもつと考えられた。大脳半球血流量定量値は、MRIで異常所見を呈する例、神経症状を有する例で低下していた。また、MRSによる生存神経組織の指標であるNAA/Crと正の相関を示した。これらのことから、脳血流定量値は検査時点での中枢神経障害を反映する指標となると考えられたが、その後の神経学的予後、CD4やウイルス量との関連はみられなかった。 以上のことから、定量的脳血流シンチグラフィは非侵襲的で、HlV-1感染者に実行可能であり、中枢神経障害の評価に有用であることが示唆された。
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