8頭の肺癌家兎(New Zealand White Rabbit)を使用し正常肺組織及び肺癌組織部分を摘出した。それぞれについてメタロチオネイン(MT)のモノクローナル抗体を用いABC法にて免疫染色後CAS200Imaging AnalyZerにてMTの発現を半定量化した。結果は小細胞癌では2例中1例にまた非小細胞癌では6例中2例でMTの発現を認めた。さらに肺癌家兎で経静脈的にcisplatine(CDDP)注入を繰り返し施行したものについても同様にMTの半定量化を行った。この結果は小細胞癌で2例中2例、非小細胞癌で5例中4例MTの発現を認めた。 実際の臨床例ではMTは未治療15例中8例、既治療10例中9例で発現が見られた。組織型別では扁平上皮癌では11例中7例腺癌では12例中9例小細胞癌では2例中1例で発現が見られた。ステージ別では1では4例中1例2では8例中5例3で9例中7例4では4例中4例で発現していた。 MTの発現率は既治療群で高く、臨床上悪性度が高いほど発現が高い傾向にあった。今回は同一症例において治療前後でのMTの発現の有無や発現の程度についての検討はできなかった。しかし上記結果よりCDDPの投与によりMTの発現が誘導されることは示唆された。一方CDDP投与前にMTの発現を経皮的生検などにより得られた癌組織にて確認ができれば薬剤耐性の克服の手助けになりうると思われる。
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