研究概要 |
樹状細胞は強力な抗原呈示能を有し、造血器腫瘍治療、感染症、GVHDのコントロール等の臨床応用を期待されている。しかし、純度の高いDCを大量に得ることは困難であり、DCの分化や活性の機構を検討することは容易ではない。UG3は急性単球性白血病患者末梢血より樹立した細胞株で、GM-CSF依存性に増殖する。ヒト単球性白血病細胞株UG-3のGM-CSF依存性サブクローンであるUG3-GMをGM-CSF 1ng/ml,IL-4 0U/ml,TNF-a 50ng/mlの条件で培養した場合、単球由来成熟樹状細胞と考えられるCD1a・CD83・CD80・CD86陽性、CD14陰性の細胞が最も多く得られ、その細胞の形態も樹状細胞とに合致した。またRel-Bの発現は時間依存性に発現量が増していた。これらの条件で得られたUG3-GM由来の細胞は抗原呈示能を示していた。この結果は1999年度の日本血液学会総会(4月21日)で発表した。 オリジナルの細胞と分化した細胞のmRNAの差をdifferential display法により検討したところ数個の因子が採れ、そのうちいくつかを個を解析した。RNAKという破骨細胞分化因子の受容体であった。もう一つはTGF-betaでありこれについて本細胞における役割について検討したところTGF-betaは樹状細胞が分化しアポトーシスを起こすことを抑制するという結果を、ヒトTGF-betaを細胞へ添加しその生細胞数の検討とアポトーシス定量化により得た。これは現在論文投稿準備中である。他に同定されたものはheat shock proteinであり分化因子の可能性は低いように思われる。まだ同定が終わってない因子もあり研究を継続している。
|