研究課題/領域番号 |
10770529
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大島 直紀 慶應大, 医学部, 助手 (20265789)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 延髄吻側腹外側野 / 摘出脳幹脊髄標本 / パッチクランプ法 / 心血管中枢ニューロン / reguln type neuron / 逆行性活動電位 / 脊髄中間外側核 / アンジオテンシンII |
研究概要 |
【目的】本研究では新しい交感神経系の実験系である摘出脳幹-脊髄標本において、延髄吻側腹外側(RVLM)neuronと脊髄中間外側核(IML)neuronの両者にwhole-cell patch-clamp法を適用し、各々のneuron(神経細胞)の電気生理学的特性、形態学的な特徴そして交感神経系を形成するネットワークを検討することを目的とした。更に血圧上昇における交感神経中枢の役割を解明するため、Angllや高濃度CO_2に対するBVLMおよびIMLの反応を検討した。 【研究結果】RVLMにはregular(n=20)、irregular(n=106)、silent(n=25)と3種類の発火パターンが見出された。形態ではirregularがregular type neuronより大きく、樹状突起が発達していた。第IX、X脳神経刺激によりRVLMneuronは抑制、興奮、無反応の3タイプを示した。Th_<2-3>のIME電気刺激で逆行性活動電位を示したRVLM neuronは151細胞中33細胞を認め、それらは交感神経に直接関与しているneuronと考えられた。また各々の潜時は45msecとほぼ一定であり、核染色にてBVLM領域内のほぼ同一部位に存在することが示された。また、low-Ca^<2+>-high-Mg^<2+>溶液でシナブス結合を遮断しても、regularの全てとirregular一部に自発性に発火するneuronを認め、regular typeは交感神経中枢の中心的存在として機能している可能性が示唆された。IMLにもRVLMと同様にregular typeを含む3種類の発火パターンのneuronが存在したことより、IMLも交感神経系のリズム形成に関与している可能性が示唆された。また各々のIML neuronはTh_2の電気刺激に対し逆行性活動電位を認め、RVLMの電気刺激に対しても興奮を示した。分離灌流法で延髄のみにAngll(6μM)、10%CO_2を投与し、胸髄(Th_<2-3>)レベルのIML neuronの活動電位を記録したところ、延髄のみへのAngll、10%CO_2投与に対し、IML neuronが活動電位の増加、膜電位の上昇を示した。 【結論】従来のスライス法と異なり本研究は、求心線雑→RVLM→IML一遠心性交感神経線維というネットワークを保ったままneuronレベルで交感神経系を検討し得た初めての研究である。この結果、RVLM、IMLに3typeのneuron存在することが判明し、RVLMには自発性を保持したneuronの存在が示された。形態学的検討において、RVLMのregular、irregular typeの両者の間で相違が証明された。また生理的血圧上昇物質であるAngll、CO_2に対してRVLMを含めた延髄で、IMLの興奮性が調節されることが解明された。
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