研究概要 |
発達期脳におけるヘムオキシゲナーゼ-1の動態とその役割について解析を行っている。 1,今年度は、新生仔低酸素虚血ラットモデルを用い、mRNAレベルと蛋白レベルにおいての発現動態について解析を行った。その結果、mRNAレベルでは、低酸素虚血負荷3時間以内に発現ピークに達し、12時間後には、対照の発現レベルにまで低下していた。また、蛋白レベルでは、低酸素虚血負荷12時間後でピークに達し、24時間後には対照の発現レベルまで低下していた。また、脳の各部位別に検討すると、低酸素虚血負荷のパターンとヘムオキシゲナーゼ-1の発現パターンは、ほぼ一致していた。 2,神経系細胞培養株であるC6グリオーマにおける、ヘムオキシゲナーゼ-1の発現と細胞分化との関係について解析中である。C6グリオーマは、様々な刺激により、アストロサイトとオリゴデンドロサイトへの2方向性に分化する特性をもつ。現在まで、熱負荷時、cAMPなどの刺激時における細胞分化とヘムオキシゲナーゼ-1の発現の関係を明かにしてきた。 3,今後、ヘムオキシゲナーゼ-1の発現調節により、細胞分化に及ぼす影響について解析中予定である。このモデルは、未熟児の脳室周囲白質軟化症の病態解明に役立つことが期待される。
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