研究概要 |
平成10年度に引き続き、骨髄細胞から骨芽細胞・破骨細胞への分化と脂肪細胞への分化の関連を検討した。 (1)骨髄細胞の脂肪細胞分化を促進するチアゾリン系薬が破骨細胞形成を抑制することを前年度に明らかにした。平成11年度には、この作用がin vitroでの骨吸収抑制を伴っていることを明らかにした(Endocrinology 140:5060,1999)。さらに、in vivoでも、チアゾリン系薬が2型糖尿病患者の骨吸収指標を低下させることを明らかにした(Endocrine J 46:745,1999)。さらに、チアゾリン系薬の破骨細胞形成抑制作用の機序として、interleukin-6(IL-6)、IL-1、tumore necrosis factor-α、osteoprotegerin、receptor activator of NF-kβ ligand、など、破骨細胞形成に影響を及ぼすサイトカイン作用を変化させることにより発現している可能性を検討したが、明らかな結論は得られなかった。 (2)女性ホルモン、男性ホルモン、およびこれらの拮抗薬が脂肪細胞分化、骨芽細胞分化に及ぼす影響を、これまで用いてきたマウス骨髄初代培養細胞系で検討したが、明らかな効果を見いだし得なかった。そこで、脂肪細胞と骨芽細胞に分化しうる骨髄間質系細胞株を用いて、これらのホルモンが間質系細胞の分化に及ぼす影響、さらにチアゾリン系薬との相互作用に関して、現在検討している。
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