研究課題/領域番号 |
10770562
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
本田 伸一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (40257639)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | エストロゲン / ノックアウトマウス / ステロイドホルモン / 骨密度 |
研究概要 |
エストロゲン合成酵素であるアロマターゼは、性腺組織のみならず、骨組織や血管細胞、脳などにも存在することが明らかとなっている。我々は、アロマターゼの様々な臓器における生理機能を解明することを目的とし、ジーンターゲティング法を用いて作製したアロマターゼ欠損(ArKO)マウスの解析を行っている。ArKOマウスは、雌マウスでは子宮の委縮及び多嚢胞卵巣が認められるが、雄では一見して特徴的な異常を認めない。一方、ヒトでは閉経やアロマターゼ欠損症などによりエストロゲンが低下すると、骨粗鬆症やそれに類似した症状(骨量、骨密度の低下)を引き起こす事が知られている。今回は骨におけるアロマターゼの機能を調べるためArKOマウスの骨組織の解析を行った。 8〜20週令の野生型および、ArKOマウスの大腿骨および脛骨の骨幹端における骨密度を測定したところ、ArKOマウスでは、野生型のそれに比べ、雌雄どちらのマウスにおいても骨密度は低下していた。雄では骨密度の低下は野生型の約90%程度に留まるが、雌においてはその傾向が著しく、野生型の約70%にまで減少していた。さらに、大腿骨骨頭部を組織化学的に調べると、ArKOマウスでは、骨端線における軟骨細胞の長軸方向への配列が規則的で、細胞密度が高く、結果として骨端線が野生型のそれに比べて伸びていることが明らかとなった。これはヒトのアロマターゼ欠損患者が、骨端の閉鎖遅延によって高身長となる事に対応する結果であると考えられた。また、椎体における組織染色の結果を画像解析したところ、ArKOマウスでは骨梁面積が有意に低下しており、相対的に骨髄量が増加していることが示された。このようにアロマターゼはエストロゲン産生を介して、骨の代謝に深く関わっていることが明らかとなった。
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