研究概要 |
【目的】Anthracycline系抗癌剤の抗癌作用におけるフリーラジカルの関与ならびに細胞周期調節機構への直接作用をあきらかにしたい。 【方法・結果】1.同調培養:対数増殖期ヒト大腸癌細胞株(HT29,HCT116,DLD-1)に対しM期同調を行う目的で、nocodazoleを各種濃度・時間作用させた。細胞周期は裸核処理を施した細胞にpropidium iodideにて染色を行いFACScanにてDNAcontentを測定した。nocodazole(0.4μg/ml)を16時間作用させ、薬剤を除去し12時間培養を継続したところ、いずれの細胞もG2M期に停止した。HT29,HCT116では8時間後にDLD-1では4時間後に90%以上の細胞集団はG1期に同調された。 2.殺細胞効果:培養細胞にadriamycin(ADM)を作用させ、MTT法を用いて殺細胞効果を測定した。それぞれの細胞におけるIC50値はそれぞれ0.287±0.089μM、0.218±0.098μM、0.722±0.114μMであったが、同調細胞では、0.352±0.114μM、0.289±0.049μM、1.042±0.221μMとなった。 3.superoxide dismutase(SOD)測定:G1期同調細胞にADMをIC70との条件下にて作用させた後、3×106個の細胞を採取し、SOD値を測定した。control群と比べてADM作用群ではHT29が1.12±0.35、HCT116で1.14±0.31、DLD-1で1.09±0.59倍とそれぞれ増加する傾向は認めたものの有意な差を認めることはできなかった。 【まとめ】大腸癌細胞を用いて殺細胞効果、細胞周期とSDO活性との関係を明らかにする目的で行ったが、再検討が必要と考えられた
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