Giancarlo Ugazioらが考案した方法で、家兎に四塩化炭素を投与し肝硬変を作成した。肝硬変作成後、ネンブタールによる静脈麻酔を行い開腹した。肉眼的に肝硬変であることを確認の上、回結腸静脈からカテーテルを挿入し、門脈圧を測定した。左室内に留置したカテーテルからマイクロスフェアを注入し、大腿動脈内に留置したカテーテルからレファレンスの採血を行った。10羽に対しては、肝臓全体に高エネルギーレーザー照射を行い、直径1mmのレーザー孔を多数開けた。残り10羽に対しては、レーザー照射はせず対照群とした。閉腹し、2ヶ月後に再度静脈麻酔下に開腹した。 前回と同様に門脈圧を測定した。左室内に留置したカテーテルから前回と異なるマイクロスフェアを注入し、大腿動脈内に留置したカテーテルからレファレンスの採血をした。肝臓を摘出し、肝動脈にカテーテルを挿入し、ヨードのk吸収端の直上のエネルギーに単色化した放射光をX線源として、肝動脈造影を行った。肝臓内の2種類のマイクロスフェア量を蛍光X線分析器で測定した。 レーザー照射群のレーザー照射後の門脈圧は、対照群より若干高くなっていった。単色放射光を用いた肝動脈造影では、レーザー照射群の方がhypervazcularであるように見えたが、肝臓の厚みのため際立った差は指摘できなかった。マイクロスフェアのカウントは、照射群の方が高い傾向があった。レーザー照射のために、微小血管増生が促進されたかもしれないが、圧勾配を考えると、動脈門脈シャントが作られ、そのためむしろ門脈圧を高めた可能性が示唆された。
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