研究概要 |
これまでに培養心内膜内皮細胞(EEC)がendothelin-1(ET-1)を放出することをつきとめ,左心室EECのET-1産生が圧負荷により圧依存性に増加することを証明した。この結果より,生体内においてEECは重要なET-1のproducerであり,このET-1が隣接する心筋のpositive inotropic作用に関与していることが推測される。これに引き続き,Langendorff装置を用いたラット心臓の心機能評価法を確立した。ラット心機能評価項目は,心泊数,大動脈流量,冠潅流量,心拍出量,最大収縮期圧および平均圧である。左心室内腔をTriton X-100で1秒間処理してEECのdenudationを行い,その前後の心機能を比較した。心拍数,大動脈流量,冠潅流量,心拍出量,最大収縮期圧および平均圧はすべて有意に低下し,EECのdenudation前に比べてそれぞれ82.4±8.3%,58.7±8.02%,75.0±8.89%,62.8±7.71%,84.2±3.51%,92.7±3.34%となった。ET-1拮抗剤を用いた実験は行っていないが,EECのdenudationによりEECからのET-1産生が減少したのは明らかであり、EECのET-1を介したpositive inotropic作用への関与が示唆されたと考える。
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