研究概要 |
II,III 肉眼的、組織学的観察所見 (1)op後1か月:再建ACLは、光沢のない白い浮腫状の靱帯様組織として存在し、滑膜の被覆は脛骨側に一部認められるのみであった。組織学的には、細胞の消失懐死と一部に線維芽細胞の著明な増殖をみる。 (2)op後3か月:再建ACLは、白濁色で太く表面はまだ浮腫状だが、一見強固な靱帯様組織であった。滑膜は、脛骨側から移植靱帯中央部を越えて大腿骨付着付近まで移植靱帯前面を被っていた。組織学的には、滑膜組織で被われた膠原線維が整然と長軸方向に配列し、豊富な細胞成分を認めた。 (3)op後6か月:再建ACLは、正常靱帯のような光沢は認めないものの、浮腫は消失し、太い白濁色の靱帯様組織として存在していた。滑膜は、移植靱帯全長を前面から被覆していた。組織学的には、血管組織は著しく減少し、線維芽細胞が、一定の方向性を持って膠原線維間に配列している。また、正常ACLと比較すると膠原線維束の走行が類似してくるが、細胞成分は明らかに豊富である。電子顕微鏡を用いて観察すると術後6か月の移植腱での膠原線維の横径は直径100nm以下で正常ACLのそれに比べ細い直径を有していた。 (4)op後12か月:再建ACLは、肉眼的には、op後6か月の再建ACLに比べ大きな差を認めなかった。組織学的には、膠原線維が比較的短い周期のcrimp patternを呈し長軸方向に配列しており、線維芽細胞は膠原線維間に規則的に配列し、細胞成分も6か月時点よりやや減少し、正常ACLにさらに類似していた。電顕的には線維芽細胞の横径は細い直径のままであった。 IV 生化学的分析 (1),(2)コラーゲン含有量、コラーゲンの可溶性:再建ACLコラーゲン含有量及びコラーゲンの可溶化率は、経時的に移植膝蓋腱のそれから、正常ACLのものに近似してきていた。 (3),(4)架橋結合分析、アミノ酸組成分析:現在、検討中である。 以上の結果をふまえ、今後考察を加えていく予定である。
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