研究概要 |
方法 雌のLewis種ラット(n=16,175-245g)に対してMyeline basic protein(MBP)5ugを足背皮下より投与する。Control群として同年齢のラット(n=5,185-220g)に対して同様に生理食塩水を投与する。投与4日目にケタラール麻酔下に膀胱頂部より膀胱内圧測定用カテーテルを留置する。その3日後より連日、持続膀胱内生理食塩水注入による膀胱内圧測定を施行し、MBP rat群とControl rat群を比較し、後肢の麻痺の経時的変化を観察するとともに、膀胱内圧曲線上(膀胱内圧、排尿量、残尿量)にどのような影響を与えるかを検討した。一過性の麻痺症状が出現する前後の評価日は前7-9日目、後17-19日目とした。過活動膀胱は1回排尿量が0.3ml以下で残尿が0.1ml以下のもの、低活動膀胱は残尿が0.1mlを超えるものと定義した。 結果 1.MBP ratはMBP投与10-14(平均12.2)日目から後肢の麻痺が出現し1-7(平均3.5)日間持続した。2.MBP ratは麻痺の出現と同時期の膀胱内圧検査上、一過性の低活動膀胱、一過性の過活動膀胱、一過性の過活動および低活動膀胱、正常の4つのパターンに分類された。3.膀胱収縮圧と排尿量はいずれも麻痺後に増加を、排尿間隔は延長を示したが有意差はみられなかった。4.MBP rat群とcontrol rat群間に麻痺後の膀胱収縮圧、排尿量、排尿間隔についていずれも有意差はみられなかった。 まとめ MBP投与後のある時期に、一過性の麻痺が出現し、膀胱障害を発症するという興味深い現象がみられた。今後、病理学的な変化との関連を検討するとともに、薬物投与による変化を検討する予定である。
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