研究概要 |
胸腺ならびにT細胞表面抗原の胸腺における発現の変化を中心に,免疫抑制剤のラットの胸腺での分化成熟における作用を解析し,CyA,FK506,glucocorticoid(GC)において,ラット胸腺内で胸腺細胞の分化,成熟を抑制していることを解析した。また,FK506,GCのラット胸腺細胞における細胞分裂とapoptosisに及ぼす作用を検討し,FK506は胸腺細胞のBrdUの取り込みに影響せず,apoptosisも誘導されなかった。一方,GCは投与開始後すみやかに全体のラット胸腺細胞にapoptosisを惹起した。FK506は,胸腺細胞の分裂,apoptosisには影響を及ぼさず,胸腺細胞数の減少は,移住や動員に影響している可能性が示唆された。GCはラット胸腺細胞全体にapoptosisを誘導し,以前報告した分化,成熟の抑制は再生胸腺の分化過程を示している可能性が示唆された。 このような胸腺内細胞分化過程において,apoptosisは重要な役割を坦っているがapoptosis誘導作用について,GCが発現誘導する「死の遺伝子」の存在の実体はいまだに不明で,他のapoptosis誘導経路に必要なP53,nur77,またはFas/Fasリガンドが関与しないとされている。胸腺内において,apoptosis signalがどのように細胞内情報伝達機構を介して核に伝わるかをラット胸腺のGC投与Apoptosisモデルを用いて解析し,胸腺内において,pI 4.0,MW 30Kの蛋白が消失し,pI 4.0,MW 14Kの蛋白が増加することを解析した。
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