研究概要 |
1.ラット膀胱発癌におけるテロメラーゼ活性の経時的変化。 N-buty1-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine以下BBNと略す。 BBNを水道水に溶解し、0.05%BBN含有水を作成し、5週齢SDラットに投与した。BBN投与期間は10週とし、以後は水道水にて飼育した。 BBN投与前、5週、10週、15週、20週、25週後にラットを屠殺し、摘出膀胱に病理学的検討を加えた。15週目以降に摘出した膀胱では、約90%移行上皮癌が発生しており、telomerase detection kitでの活性値は175.92±21.05であった。移行上皮癌の約90%にみとめた。hyperplasia、Displasia等のいわゆる前癌状態でのテロメラーゼ活性はhpyperplasia<Displasia活性を認める傾向にあったが、移行上皮癌との間に有意差を認めなかった。 2.抗癌剤感受性とテロメラーゼ活性の検討。 手術により採取したヒト膀胱癌患者15例の癌細胞を組織培養した。 まず、collagen gel matrixを用いた培養法で、経時的な腫瘍片のviabilityを検討した。 腫瘍片のviabilityは、培養後2〜3日までは低下したが、以後上昇し摘出直後のレベル回復後には、このレベルを維持した。次に、MTT assayを用いた抗癌剤感受性試験を施行した。 薬剤として、CDDP,ADM,MTX,VBL,5-FU,MMCを使用した。 膀胱癌に対するこれらの薬剤の感受性は比較的低く、臨床における奏効率とにdiscrepancyを示した。感受性を示した癌細胞では、テロメラーゼ活性の低下を認め、治療のマーカーとしての有用性が示唆された。
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