平成10年度は雄ラットの勃起反応の加齢性変化について、さらに性成熟期に達している若年ラット(12週齢)を用いて、これまで検討されていないNOとマウント行動及び勃起反応の関連について検討を行い、以下の結果を得た。 (1) 脳内DA変化の雄ラット勃起反応への影響 ブプロピオンの脳内灌流により脳内DAを増加させたところ、反射性勃起および非接触性勃起の反応回数は有意に増加することが明らかとなった。 (2) NOによる性行動変化及び勃起反応の変化 NOは脳内でも神経伝達物質としての重要な役割を果たしているが、ラットの性行動にどのような役割を有するかについて、L-Argを脳内灌流させたところ、マウント回数の有意な増加が導かれた。 (3) 脳内nitric oxide synthase(以下NOS)の加齢による変化 12週齢と24ケカ月齢のラットを対象として、内側視索前野、室傍核をNADPH diaphoraseを用いて酵素組織化学染色を行い、脳内NADPH diaphorase陽性神経、すなわちNOS含有神経の分布、密度を検討したところ、高齢ラットでは若年ラットに比べて有意にNOS含有細胞数の減少が認められた。
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