研究概要 |
平成10年度に我々はestrogen receptor(+)であるIshikawa細胞(I)とestrogen receptor(・)であるSNG-II細胞(S)の2種類の子宮体癌培養細胞に対するメラトニン(M)の細胞増殖抑制効果について検討し、MはIに対してのみ細胞増殖抑制効果を示すこと、このMの作用がエストロゲンによりrescueされること、およびMのレセプターのantagonistでluzindolを添加することによりMの細胞増殖抑制効果が消失することを示した。平成11年度はまずこれらの追試を行い再現性を確認しその結果を投稿した。また、これらの結果よりIがMのレセプターを発現している可能性が強く示唆された。そこでこれを直接証明するために、IおよびSをhomogenizeし超遠心にて細胞膜分画を抽出し、^<125>Iでラベルしたiodomelatoninによるbinding assayを行ったところ、Sではiodomelatoninの結合が全く認められなかったのに対し、Iではiodomelatoninとの結合性が認められ、またcoldM添加によりこの結合は阻害された。従ってIがMレセプターを発現していることが強く示唆された。現在データをまとめ、論文投稿の準備を行っている。またIに対するMの増殖抑制効果を細胞周期の面からflow cytometryを用いて検討したが、基礎実験の段階ではM添加群と非添加群の間にはGO+G1,G2Mの各phassにおける有意差は認められなかった。乳癌細胞のMCF-7細胞ではMがG1期からS期への移行をblockすることが示されており、子宮体癌細胞であるIにおける細胞周期への影響について今後検討を重ねていく予定である。
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