研究概要 |
1.視神経乳頭周囲の血流障害の徴候である乳頭周囲網脈絡膜萎縮(PPA)を検討することで、代表的な原発緑内障である原発開放隅角緑内障(PACG)と原発閉塞隅角緑内障(POAG)の視神経障害の病態生理の解明を試みた。Heidelberg Retina Tomograph(現有設備)を用いて,視野病期をマッチングしたPACGとPOAGにおける視神経乳頭およびPPAの関係を検討したところ、POAG眼においてはPACG眼に比べてPPAの出現頻度、面積が大きいことがわかった。また、POAG眼においてはPPA面積と視神経乳頭変化(cup/disc面積比)、視野指標との間に有意な相関関係を認めたが、PACG眼では認めなかった。このことから、POAG眼ではPACG眼に比べ視神経障害発生過程で血流障害因子が深く関与している可能性を証明できた。 2.正常眼圧緑内障(NTG)における乳頭周囲網脈絡膜萎縮(PPA)の面積と血流障害の程度を、現有装置である超音波カラードップラーイメージング(CDI)により検討した。左右眼でPPAの差が10%以上あるNTG患者26例を対象としてCDIにより眼窩血管血流を測定したところ、視野病期において差がない時期からPPAの大きい側の眼で網膜中心動脈と短後毛様動脈の血流が低下していることが証明された。
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