研究課題/領域番号 |
10770971
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
長井 孝二郎 久留米大学, 医学部, 助手 (50299476)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 小児癌 / HLA-A24 / 癌ワクチン / 癌拒絶抗原 / がん / キラーT細胞 / 細胞傷害性T細胞 / tumor infiltrating lymphocyte / cytotoxic T cell / child |
研究概要 |
小児癌に対する特異免疫機構の存在に関する研究はあまりされていなかった。そこで小児固形癌患児より自家癌特異的CTL株の樹立を行ない、免疫学的に未成熟な小児期においても腫瘍特異的免疫応答が誘導されているか否かを調べ、小児固形癌における特異的癌ワクチン開発の可能性を検討するために本研究を行った。我々は3ヵ月令のWilms腫瘍患者の癌局所内浸潤リンパ球(TIL)より細胞傷害性T細胞株を樹立した。この細胞傷害性T細胞株の膜表面表現型は、CD3+CD4-CD8+であり、HLA-クラスIの遺伝子型はA2402/A3302およびB4403/B4601であった。この細胞傷害性T細胞株は自家腫瘍を含むHLA-A2402陽性の種々の組織(大腸、胃、肺、卵巣)由来の腺癌や食道扁平上皮癌に対し特異的な細胞傷害活性を示した。しかしながら、HLA-A2402陰性腫瘍やK562赤芽腫細胞株、およびHLA-A2402陽性の正常細胞には細胞傷害性を示さなかった。これらの結果よりこの細胞傷害性T細胞株はHLA-A2402拘束性に癌細胞を認識している可能性が示唆された。そこで、HLA-A2402陰性卵巣腺癌細胞株KOC-7CにHLA-A2402cDNAをトランスフェクトした細胞に対する反応性をインターフェロンガンマ産生を指標として検討したところ、HLA-A2402拘束性が確認された。これらの結果より、HLA-A2402拘束性に癌細胞を認識し、特異的に傷害する細胞傷害性T細胞が小児のWilms腫瘍患者の腫瘍局所に存在していることが示唆された。このことは、小児固形癌における特異的癌ワクチンの可能性を支持するものであり、今後の開発研究に科学的根拠を賦与するものである。
|