研究概要 |
褥瘡・難治性下腿潰瘍計25例、分層採皮創14例を対象とし、滲出液の吸着材としてのニトロセルロース膜を各種創面に貼付し、これをコラーゲン(I型、III型)、TGF-β,Fibronectineを1次抗体として、2次抗体にビオチン化抗マウス抗体を用いてアビジン・ビオチン・ペルオキシダーゼ法にて反応呈色させて免疫組織化学的に検討を行った。 【結果】I型コラーゲンの陽性率は褥瘡・難治性潰瘍群(A群)92%、分層採皮創群(B群)93%、III型コラーゲンの陽性率はA群72%、B群20%、TGF-βの陽性率はA群4%、B群0%,Fibronectineの陽性率はA群8%、B群20%であった。 【考察】創傷治癒の各段階で合目的に各種サイトカイン等が放出され、創傷治癒過程が順次進行するものと一般には理解されている。そのため、創傷の治癒状態を細かく評価するためには滲出液が一定量に達するのを待って評価するのではなく、ある一時点での滲出液の分析を経時的に行い評価することが望ましい。しかし、一時点での滲出液は極めて微量であるためその分析は容易ではなかった。そこで今回、蛋白吸着膜であるニトロセルロース膜を用い、免疫組織化学的に評価する方法を考案した。その結果、各種蛋白が検出でき、またコラーゲンの型等の経時的変化が急性および慢性創傷のモデルで確認することができた。以上より本法は創面に放出される各種成長因子や生理活性物質等の検出方法として有用な方法であることが示唆された。
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