研究概要 |
Actinobacillus actinomycetemcomitans 29522株からクローニングしたcytolethal distending toxin(CDT)をコードするcdtABC遺伝子の大腸菌発現系を構築し、cdtA,cdtB,cdtC遺伝子の1つまたは2つを欠失した計6種の変異体(cdtBC,cdtAC,cdtAB,cdtA,cdtB,cdtC)を作製した。また、本毒素が精製困難であるため、CdtA,CdtB,CdtC蛋白をそれぞれ個別に精製し、本毒素の再構成を試みた。CDTの毒素活性は、口腔上皮様培養細胞(KB細胞)に引き起こされる形態変化(細胞膨張)と細胞周期G_2期停止活性を指標にして同定した。作成した6種の変異体のうち、cdtBC,cdtAC,cdtAB,cdtA,cdtC変異体が弱いながらも毒素活性を示したのに対して、cdtB変異体は毒素活性を示さなかった。更に、本毒素活性は、3種の精製CdtA,CdtB,CdtC蛋白全てを加えることで再構成された。以上の結果、1)CdtAとCdtCは単独でCDT活性を示し、CdtBはCDTの活性を増強すること、2)3種のCdtA,CdtB,CdtC蛋白のみ存在すれば、CDT活性は完全であることが示唆された。
|