研究概要 |
ラットの三叉神経感覚核群に分布する神経線維のうちグルタミン酸作働性の神経終末について,免疫組織化学法を用いて解析した. 実験にはWistar系ラット9匹を用いた.実験動物を深麻酔後に2.0%パラフォルムアルデヒドと0.25%グルタールアルデヒドの混合溶液にて灌流固定を施した.脳を摘出の後に脳幹部において厚さ30μmの凍結連続切片を作製し,関節蛍光法を用いて免疫組織化学的にグルタミン酸様免疫活性を有する神経終末をFITCにより標識し,蛍光顕微鏡下に観察した.また,隣接する切片に対比染色(Nissul染色)を施し,投影顕微鏡下にスケッチ・観察した. (1)グルタミン酸免疫陽性の神経線維と終末は三叉神経運動核ニューロンの細胞体と近位樹状突起に接してごく少数,三叉神経脊髄路核の尾側亜核表層に多数が認められた.(2)これに対してグルタミン酸免疫陽性の神経細胞は三叉神経主感覚核に多数,三叉神経脊髄路核の吻側亜核背内側部と腹外側部に少数,中位亜核に多数が観察された.(3)三叉神経感覚核群の内側に隣接する小細胞性網様体には免疫陽性の神経細胞が多数,観察された. これらの結果より,三叉神経の支配領域に発する感覚情報うち,少なくとも侵害受容性の大部分はグルタミン酸作働性システムが関与し,また咀嚼運動ニューロンに対するpremotor neuronの中でごく一部がグルタミン酸作働性であることが示唆された。
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