研究概要 |
本年度はパワーパルスNd:YAGレーザーを使用し,以下の実験を行った. 1.ヒト単根抜去歯の歯根を用い,通法に従って根管拡大を行い,ガッタパーチャポイントおよびシーラーを用いて側方加圧充填を行った.その後,根管形成用バーを根管に7.5mm挿入して根管形成を行い,通法に従ってC:金銀パラジウム合金,M:銀合金,およびP:白金加金の3種の鋳造ポストを作製し,E:リン酸亜鉛セメント,K:グラスアイオノマーセメント,およびS:接着性レジンセメントで合着した.金属とセメントの組み合わせにより合計9群,各群5本ずつ計45本を試料とした.レーザーをファイバーで導光し,900mJ10ppsの条件で水中にてポストにレーザー照射を行った.照射前後にX線撮影を行い比較検討するとともに、SEMにてレーザー照射後の根管壁象牙質を観察した.その結果,除去時間に関しては金属およびセメントの種類によって統計学的有意差が認められた(two-way ANOVA,p<0.05).SEMでは根管壁象牙質に溶岩状,クラッカー状などの象牙質溶融構造物がみられた. 2.ヒト単根抜去歯の歯根14本(長さ10.5mm)を用い,通法に従い根管形成,根管充填を行った.その後,根尖から3mm根充材を残してポスト孔を形成し,長さ3mmの金銀パラジウム合金で鋳造したポストを合着し試料とした.Nd:YAGレーザーは石英ファイバーで導光して,900mJ5pps,無注水または注水(0.6ml/s)の条件で金属ポストに向けてレーザー照射を行い,赤外線熱画像装置を用いてポスト除去時の歯根表面の温度上昇を測定した.その結果,ポスト除去中,歯根表面が5℃上昇するまで要した時間は無注水で4.64秒,注水下で平均11.8秒であった.
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