研究概要 |
歯列間に生じる力からブラキシズムを検出する方法を開発することを目的としてひずみゲージを上顎全歯列型スプリントの左右小臼歯咬合接触部位に埋入したブラキシズム検出装置を試作した.まず,健常被験者8人を対象にブラキシズムをシミュレートした4種類の動作,すなわちクレンチング,タッピング,リズミカルクレンチング,グラインディングを行わせ,これらの動作を試作したブラキシズム検出装置と咬筋筋電図を用いて同時測定し両者を比較検討した.さらにブラキシズム習癖を自覚する被験者を対象にこの装置を睡眠ポリグラフに組み込み実際の夜間睡眠時ブラキシズムの計測を試みた. その結果,シミュレーション実験では,シミュレートされたブラキシズム動作に対応した咬筋筋活動出力とひずみゲージからの出力との間には高い相関関係が認められた.またひずみゲージからの出力について,咬頭嵌合位での最大咬みしめ時の10%レベル(10%MVC)の出力を閾値としてブラキシズム・イベントを検出した場合,筋電図を用いて検出した場合と持続時間の相関が最も高くなった.この閾値を用いた場合,両者の相関関数はクレンチングで0.97(P<0.001,N=60),リズミカルクレンチングで0.95(P<0.001,N=60),グラインディングで0.81,(P<0.001,N=57),タッピングで0.75,(P<0.001,N=58)であった.実際に睡眠時ブラキシズムを測定し,覚醒時10%MVCを閾値としてブラキシズムを検出し,筋電図を至適基準として検討した場合,感度は0.85,持続時間の相関は0.77(P<0.001)であった.以上の結果から咬合力をもとにブラキシズムを測定可能な本装置の有用性が示唆された.
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