研究概要 |
1.目的 チタンは生体親和性に優れ,歯科臨床においても新たな修復材料として幅広く応用されつつあるが,定型的な研磨方法が確立されていない.本実験は合理的なチタン補綴物の研磨システムを確立するために,技工用回転切削器具を用い検討を行った. 2.材料と方法 チタンにはKS-50,鋳造機はヴァルカンーT,AUTOCAST-HCIIIを,埋没材にはチタベストCB,T-INVEST-C&B,チタンクラウンインベストメントを使用した.ワックスパターンは上顎第一大臼歯部のナチュラルワックスパターン,平面パターンとして1.5cm X2cmのパラフィンワックスを用いた.鋳造体の表面処理の比較は鋳放し,酸処理,アルミナサンドブラスト処理の3条件について比較を行い、処理時間は1分とした。 研磨手法としてカーボランダムポイント,ペーパーコーン,シリコンポイント,ルージュの順で研磨を行う従来の研磨方法(以下,通法)と,タングステンカーバイトバー,ビックシリコンポイント,シリコンポイント,ルージュの順で行う研磨方法(以下,新研磨法)を臨床経験2〜9年目の5人の被験者に研磨を行わせ,研磨時間と表面あらさ,および削除量を測定し比較検討した. 3.結果 各パターンの通法と新研磨法の被検者による研磨時間の影響は現れにくい傾向を示した.一方,表面あらさは,鋳放しではチタンクラウンが大きな値を示し,次いでC&B,CBとなった.削除量は通法,新研磨法ともにチタンクラウンが,大きな削除量を示し,CBが小さな削除量を示した.また,各表面処理による研磨時間と表面あらさは,酸処理では明確な影響が現れなかったが,アルミナサンドブラスト処理後は,各埋没材ともに研磨時間と表面あらさの減少が認められた.一連の実験結果からチタンの研磨を合理的に簡略化できる処理方法はアルミナサンドブラスト処理であることが判明した.
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