片側下顎頭の滑走運動を固定化することで顎関節に異常な負荷が加わる実験モデルを作成し、下顎頭や下顎窩の骨形態・構造の経日的な変化、下顎頭と下顎窩の相対的な位置変化および、それに伴う周囲血管の走行の変化を、術後10日、20日、40日、60日、80日、120日、180日について、病理組織学的、エックス線学的および3次元的に観察し、以下の結果を得た。 1.下顎頭や下顎窩の骨形態・構造の変化については、下顎頭-下顎窩の外側面と前面での骨添加、下顎頭後面での陥凹化、経日的には関節後突起の平坦化、骨髄腔の萎縮および骨の硬化が認められた。 2.下顎頭と下顎窩の相対的な位置関係は、3次元構築より、下顎頭長軸角が減少するように外側極が後方に、内側極が前方に回転しながら内方に偏位していた。 3.下顎頭の血行に関しては、下顎頭-下顎窩の相対的な位置変化による血行の大きな変化は認められなかったが、骨の形態変化がみられた下顎頭および下顎窩の周囲では、微細血管の新生が著しく、一部は血液供給路として下顎頭を取り巻く血管から分岐した補助的な血管が、下顎頭内に直接侵入しているのが確認された。
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