研究課題/領域番号 |
10771200
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
渡邊 裕 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (30297361)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 高次脳機能 / 口腔ケアマニュアル / 空間認知障害 / 口腔ケア |
研究概要 |
既存の高次脳機能評価スケールから口腔ケアと関連の深いものを抜粋複合した口腔ケア高次脳機能評価スケールを作成した。これを日常診療において度重なる口腔清掃指導にも関わらず口腔清掃状態の改善の認められない患者30名に対し施行し、高次脳機能のスクリーニング検査をおこなった。同時に口腔に関する評価(残存歯数、その状態、補綴物、口腔清掃状態、口腔ケア自立度)を行なった。スクリーニング検査後精査を行い、構成失行、身体失認、視空間認知障害と診断された4名の口腔の状態を検討したところ、明らかに本障害に起因する特定の部分的な歯牙の早期喪失や、口腔清掃状態の不良が認められ、さらに、同部位の口腔清掃指導の効果が他の部位と比較し認められなかった。これらの患者に対して高次脳機能障害の治療に用いられている学習転移アプローチ、感覚統合的アプローチにて口腔清掃指導を行ったところ効果が認められた。これより高次脳機能障害別の口腔ケアマニュアルの作成を行った。 以上の結果より高次脳機能、特に空間認知に関する機能が、口腔ケアに関連が深いことが示唆された。そこでより精密に空間認知に関する機能をはかるため、健常ボランティア30名に対し、口腔ケア高次脳機能評価スケールと口腔内各部位の認知検査、口腔に関する評価を行なった。口腔内各部位の認知検査において30名の平均より有意に差の認められた、被験者の同部位に関する口腔清掃状態、歯牙の補綴状況は、その他の被験者ならびに同一被験者の他の部位のものより劣っていた。すなわち潜在的な空間認知に関する高次脳機能障害が口腔ケアに影響することが示唆された。 健常者では口腔ケア高次脳機能評価スケールと口腔内各部位の認知検査に有意な相関は見られなかったが、口腔ケアの介助を必要とする要介護者にとっては、有用で簡便なスクリーニング検査となると思われた。
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