研究概要 |
日本人健常者におけるTNF-αプロモーター領域遺伝子多型の有無についてシークエンス解析し、ハプロタイプを決定、それぞれのハプロタイプについて末梢血単核球由来TNF-α及びIL-1β産生量の比較検討を行った。また、健常者、成人性歯周炎及び早期発症型歯周炎患者におけるTNF-α及びIL-1β遺伝子多型の発現頻度について、PCR-SSOP法及びPCR-RFLP法を用いて解析を行った。 検索した20名中11名にTNF-αプロモーター領域遺伝子多型が5カ所存在し、6種類のハプロタイプが確認された。ハプロタイプ別にTNF-α産生量は、多型(-1031C,-863A,-857C)を持つハプロタイプの方が産生量が高い傾向にあるものの有意差は認められなかったが、IL-1β産生量は多型を持つ方が産生量が有意に高かった。また、TNF-α及びIL-1β産生量には有意な相関が認められた。TNF-α遺伝子多型の発現頻度は、健常者に比べ早期発症型歯周炎患者で高いアレル(-863A)が存在した(オッズ比1.7;p>0.05)が、IL-1β遺伝子多型は疾患群との差は見られなかった。またハプロタイプ別の発現頻度は、多型(-1031C,-863A)を含むハプロタイプでは健常者に比べ早期発症型歯周炎患者で高い傾向にあるものの、有意差は認められなかった。 以上より、TNF-αプロモーター領域遺伝子多型にはTNF-α及びIL-1β産生量を増加させるアレルが存在し、早期発症型歯周炎のリスクとなる可能性が示唆されたが、今後更なる検討が必要である。
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