研究概要 |
骨膜下インプラントに着目し,骨内部に侵襲を加えず,骨表面に固定源の部位を自由に設定できる歯科矯正治療専用の新しいインプラントの開発を本研究の目的とした. 本年度の研究として、インプラント体を骨膜下に設置した場合、骨形成が起こる以前の移植初期において移植体が移動または浮き上がる所見が認められた。そこで、骨膜下インプラントの移植初期における移動、浮き上がりを防止する目的で外科用接着剤を固定剤として応用し、未使用群と比較検討を行った。 結果として1.外科用接着剤を用いてインプラント体を固定した群はX所見から、未使用群に比較して、大腿骨表面からの移植体の移動や浮き上がりが少なかった。2.組織学的所見より移植後1ヵ月において外科用接着剤の残存を認めたが、移植後3ヵ月では消失し、移植体と新生骨が直接接している所見を認めた。3.引っぱり試験の結果より移植後1ヵ月、3ヵ月において未使用群と差を認めず同程度の結合力を有していた。以上の結果より骨膜下インプラントの初期固定として外科用接着剤が有効であることが示唆された。今後の本研究の展開として高純度のBMPの使用による複合化、移植体の改良をおこない、さらに歯科矯正治療の固定源として検討してゆく予定である。
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