研究概要 |
酵素によるアミンの不斉アシル化は、ラセミ体を光学活性体にする目的でしばしば用いられる。しかし、非酵素的エナンチオ選択的アシル化は全く報告されていない。 申請者らは、化学量論量の光学活性diacetylanilineを用いて2級アルキルアミンのエナンチオ選択的不斉アセチル化を検討した。その結果,最高48%の不斉収率で目的とする反応が進行することを見い出した。本例はアミンのエナンチオ選択的不斉アセチル化の最初の例である(Kondo,K.;Kurosaki,T.;Murakami,Y.Synlett1998,725.)。 さらに,高いエナンチオ選択性を獲得すべく,種々の新規不斉アシル化剤の合成を行った(Yang,J.-S.;Kondo,K.;Murakami,Y.Collect.Czech.Chem.Commun.in press.)。現在,これらアシル化剤を用いたエナンチオ選択的不斉N-アシル化を検討中である。 上記内容を検討中,新しいN-C軸不斉分子を発見し,その安定性における興味深い知見を得た(Kondo,K.;Fujita,H.;Suzuki,T.;Murakami,Y.Tetrahedron Lett.1999,40,5577.;Kondo,K.;Fujita,H.;Suzuki,T.;Murakami,Y.Enantiomer in press.)。
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