研究課題/領域番号 |
10771274
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
斎藤 博幸 国立医薬品食品衛生研究所, 大阪支所・薬品試験部, 研究員 (60300919)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | エマルション / リポ蛋白質リパーゼ / アポリポ蛋白質 / スフィンゴミエリン / コレステロール / 血中滞留性 / リポ蛋白質 / 蛍光プローブ / NMR |
研究概要 |
前年度の研究によって表面構造が明らかとなったエマルション粒子と、エマルションの代謝に重要な役割を果たしている血漿蛋白質であるアポリポ蛋白質やリポ蛋白質リパーゼとの相互作用についてin vitroで評価を行った。その結果、スフィンゴミエリンとコレステロールは共にアポリポ蛋白質の結合を減少させたが、なかでもスフィンゴミエリンはアポEの、コレステロールはアポCの結合をそれぞれ特異的に阻害することが明らかとなった。また、リポ蛋白質リパーゼによるトリグリセライドの加水分解をスフィンゴミエリンは強く阻害したのに対し、コレステロールは全く影響を及ぼさなかった。これらの結果を、粒子表面構造の指標となる蛍光パラメータとの関係から整理したところ、スフィンゴミエリンによるアポEの結合性やリポ蛋白質リパーゼ反応性の阻害は、主に極性部構造を密にするためであることが示唆された。このような粒子極性部構造はエマルションの物理的な安定性にも影響を及ぼし、表面の緻密性がエマルションの物理的な安定性を制御していることが示された。さらに、ラットを用いたin vivoでの評価の結果、スフィンゴミエリンはアポEの結合性やリポ蛋白質リパーゼの反応性を阻害することでエマルションの血中滞留性を著しく増加させること、コレステロールはアポCの結合を阻害することで逆に血中消失を促進することが明らかとなった。 以上の研究成果は、エマルションの表面脂質を目的に応じて選択することで、血中滞留性や臓器標的性などの高機能を付与したエマルション製剤が開発可能であることを示唆すると共に、その設計のための基礎的な知見を提供するものと思われる。
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