研究概要 |
1 既知の7回膜貫通型受容体(7TMR)との相同性に基づいてヒトゲノムの情報を検索し、数種の新規7TMR遺伝子を同定した。また、オーファン7TMR、GPRD及びSENRをcDNAクローニングし(DDBJに登録:AB012210,AB029611)、各種G蛋白質αサブユニット(Gα)との融合蛋白質cDNAを作製した。 2 ウシ脳に、GPRDを発現させた培養細胞(CHO細胞)のcAMP産生を減少させる活性を見いだし、精製を試みた。(最近GPRDのリガンドはフラクタルカイン(FK)であることが報告された) 3 バキュロウイルス蛋白発現系を用いて、Sf9細胞に融合蛋白質を発現させた。(1)SENR-Gαへの非水解性GTPアナログ[^<35>S]GTPγSの結合を促進する活性を、ウシ肺、胃、脳下垂体、脂肪組織、小腸、ブタ膵臓に見いだした。融合蛋白質にG蛋白質βγサブユニット(Gβγ)を共発現させると、活性は更に上昇した。ウシ肺より各種カラムを用いてこの活性の精製を行った。(昨秋SENRのリガンドはウロテンシンII(UII)であることが報告された)(2)GPRD-Gi2αは、[^<35>S]GTPγSの結合が恒常的に亢進しており、FK刺激で上昇し、Gβγの共発現で更に上昇した。ランダムな6merペプチドを提示するファージライブラリより、この活性を抑制するファージを得た。 4 CHO細胞に融合蛋白質を発現させ、受容体に対するリガンドで刺激すると、細胞内Ca^<2+>濃度が上昇した。(1)SENR及びSENR-Gαは、内在性又は融合しているGqαと共役していることが示唆された。(2)GPRD及びGPRD-Giαは内在性Gi/oα又は融合しているGiαと、GPRD-Gqαは主に融合しているGqαと共役していることが示唆された。Gqα融合蛋白質は、他と比較して細胞内Ca^<2+>の上昇が高く、10倍低いFK濃度で反応を観測できた。
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