保健婦(士)は看護の専門性を発揮させながら地域づくりに貢献しており、保健婦(士)がその育成に責任をもつ地域保健推進員活動も、住民の力を活かして行う地域づくりに向けた活動である。そこで、地域保健推進員活動を中心に、保健婦(士)が育成に関わる住民組織活動を広く捉え、この活動を発展させていく過程における保健婦(士)の認識と住民側の立場である組織の成員の認識を調べることにより、地域づくりにおける看護固有の役割を明らかにすることをめざした。 地域づくりをめざした活動に意欲的に取り組んでいる岐阜県内5市町村の保健婦に協力を得て、面接調査を実施した。地域保健推進員等の住民側の協力者と協働で地域づくりをめざした活動について、活動の経過、その過程における保健婦の認識を調ベ、保健婦(士)が看護の専門性を発揮して果たしている役割を検討した。 保健婦(士)は、行政サービスの枠組みで行う地域保健活動としてのあり方を重視しながら、看護固有の援助のあり方を重視して、住民側の協力者に関わり協働活動を行うという役割を発揮していることを再確認した。重視している看護援助のあり方は、住民側協力者を援助の支え手として捉えて働きかけると同時に、援助の受け手としても認識して働きかけ育成しているという特徴があった。 住民協力者側の認識としては、近隣住民同士が生活の営みの中で助け合い支え合う意識は当然もっているものであり、この意識を現代の地域社会の状況にあわせて育てていくために、住民側も保健婦(士)を活用するという認識をもつことを確認した。地域づくりに向けてさらに保健婦(士〉が貢献できる可能性が確認できた。今後はその方法について検討する必要があると考えられた。
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