研究概要 |
負荷が換気性作業閾値(VT)よりも高い強度での一定負荷運動においてみられる酸素摂取量の漸増(V^^・O_2 slow component)は、活動筋における速筋線維の漸増的動員/発火頻度により,活動筋での酸素利用が漸増していくためではないかという仮説を立て,この仮説を検討することを目的とした.平成11年度は,持久的トレーニングによってVO^^._2slow componentを減少させ,その際の筋活動(表面筋電図積分値),局所酸素利用動態(近赤外分光法),血中乳酸濃度を経時的に分析することにより,これらの変化の関係について検討した.トレーニングはVT+12.5%△の強度(△:漸増運動中の最大強度-VT強度)での片脚自転車運動を3日/週,4週間とし,もう片方の脚は対照脚とした.トレーニング時間は1週目30分,2週目35分,1週目40分,2週目45分とした.片脚自転車運動中(VT+25%△)のV^^・O_2 slow componentは,トレーニング脚においてトレーニング実施にしたがって徐々に低下し,筋電図積分値の変化はこれと呼応した.血中乳酸濃度も同様の変化を示したが,局所酸素利用動態については測定値にはばらつきが大きく,一定の傾向を見出すことができなかった.対象脚においてはこのような変化は認められなかった.活動筋での酸素利用とV^^・O_2 slow componentとの関係は明らかにならなかったが,トレーニング脚におけるV^^・O_2 slow componentの減少と筋電図積分値および血中乳酸濃度の低下との対応により,V^^・O_2 slow componentが活動筋における速筋線維の漸増的動員/発火頻度によることが示された.
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