研究概要 |
本研究は中国における土地利用変化の規定要因およびそのメカニズムを,北京の事例研究から明らかにしようとした.同時に,経済高度成長を経験してきた東京の土地利用変化と比較しながら,北京における持続的土地利用について検討した.更に,中国の大都市地域における土地利用の方向性を展望し,土地利用に密接関連する都市化・人口問題・食糧問題などの側面から土地利用の問題点を探ってきた. 中間成果の一つとして,「北京大都市圏における農業的土地利用変化とその扇形構造」と題して,日本地理学会春季学術大会(3月末)において連名で発表する.中国とくにその大都市地域において,持続的な土地利用が可能かどうかは,人口・食料・住宅・土地政策などの諸要素が複雑に関連している.「基本農田保護条例」で農地面積を維持し,「基本農田」とされる農地の転用を禁じる一方,人口の増加と都市化に伴う住宅用地や工業用地などの土地の需要は確実に増加している.中国は,農地面積の減少を食い止め食料を自給する政策を打ち出す一方,都市周辺で良質な農地が減少し続けている厳しい現実に直面している. これから,今までの調査を踏まえて中国の土地政策や「土地管理法」などについて分析を加えて,中国における土地利用の変化とそのメカニズムについて論文をまとめ,近く学会誌に投稿する予定である.
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