研究概要 |
本年度の目的は、昨年度の研究を踏まえて食具使用行動の能力を評価するチェックリストを作成し,そのチェックリストの有効性を確認することにより,要介護高齢者の食具使用行動のアセスメント指標を提案することである.特別養護老人ホームS施設に入所する高齢者60名,デイケアセンターY施設に通所する高齢者55名を対象に,1999年8月,介護担当者による作成したチェックリストを用いて高齢者の食具使用行動のアセスメントを実施した. その結果,高齢者の食具使用行動の能力を評価する指標には,食事形態との関連で,(1)摂食(使用できる食具の種類,手づかみと食具の使用の比率,両手の強調(食器の保持),1口量の調整,こぼす行動の頻度,咀嚼・嚥下困難,(2)摂食を補助する行動(食具を持つ,食器の料理をかき集める,食器を動かして手元に置く),(3)ぼっとしている時間の長さ(次の行動が自分で起こせない:声かけの介護が必要),(4)食事の準備・片付け(手・口等の清潔を含める)の観点から評価する必要性が示された. 以上の項目によるチェックリストの評価が可能であり,それによって介護担当者が高齢者の要介護度を評価し,介護の内容の検討が可能であることが確認された.高齢者の食具使用行動への介護は,食具を持たせる,食具に食物をのせる,食器の中の食物をかき集める,食べ終わった食器を移動する,こぼした食物をひろう,声かけをする等の介護の必要性が高く,乳幼児・障害児と比較して,手指の機能の障害より,認知・行為遂行能力に関わる要因が多い特徴のあることが明らかとなった.
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