研究概要 |
本年度は,英語の知的学習支援環境の質問応答機能における質問の出題方法に関する研究をおこなった.質問応答機能は物語の内容に関する質問応答を英語でおこなう学習機能であり,その機能の高度化のために必要な,各学習者の理解状態に適した質問を出題するモジュールを設計・実現することが本年度の研究目的である.具体的には,以下の手順で研究を遂行した. 1.雑易度の定義 各学習者の理解状態に適した質問かどうかを判断するためには,計算機が質問の難易度に影響を与える要素を知っておく必要がある.本研究では質問の難易度を,まず意味的な難易度と,文の複雑さによる難易度とに大別した.文の複雑さによる難易度は,さらに,物語の難易度,質問文の難易度および解答文の難易度に細分化される. 2.難易度算出部の実現 1の難易度の定義に沿って,各質問文の難易度を算出するモジュールをPrologを用いて実現した.なお,難易度算出の最に使用する情報は,物語の英文の構文・意味情報,文章構造,単語・文法に関する学習者の理解状態である. 3.対話方略決定部の実現 昨年度の研究成果である質問文自動生成部により生成された質問文とその難易度,直前の質問文の難易度と正誤判定結果,および教師があらかじめ指定しておいた学習目標(特定の単語または文法)を使用して,次に出題する質問文を決定するモジュールをPrologを使用して実現した.具体的な手順は以下の通りである.(1)各質問文の難易度を算出する.(2)直前の質問に正解/不正解していた場合は,その難易度に一定の値を足した/引いたものを難易度の基準値とする.(3)(1)の結果から,難易度の基準値から一定の範囲の難易度の質問文を取りだす.(4)(3)の結果から学習目標を含む質問文を選択する.
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