研究概要 |
本研究の目的は,聴覚障害生徒を対象とした数学指導におけるテクノロジー活用の効果を分析し,テクノロジー活用による指導法の試案を作成することである.そのために平成11年度は,目標の(4)である「開発された指導法の可能性と限界についての実証的検討」と,目標の(5)である「テクノロジー活用による指導法の試案作成」を行ってきた.目標(4)については,Step-by-StepアプローチとVisualizationアプローチという2つのアプローチに着目し,筑波技術短期大学と宮城県立ろう学校における数学指導の実践研究により検討してきた.その成果の一部は,ろう教育科学会の学会誌にて公表し,広く意見を求めた.また,目標(5)については,一部の単元についてではあるが,テクノロジー活用による指導法の試案を作成した.その成果については,2000年の夏にシドニーで開催される世界ろう教育会議にて発表することが決まっている. 2年間の本研究を通して,聴児がその有用性を最大限に活用できる音声を媒介とした手段の欠落を,テクノロジーの有効な活用によって補える部分があることが明らかにされてきた.今後は,聴覚障害児の数学的概念の形成を,動的メディアがいかに支援できるかという新たな研究課題について検討をすすめる.
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