研究課題/領域番号 |
10780131
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教科教育
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
日野 圭子 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70272143)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 比例的推論 / 質的研究 / ケーススタディー / 数学教育 |
研究概要 |
本年度の計画とそれに対する研究実績は以下の通りである。 1.前年度に準備したデータ収集・分析システムを用いて、「単位量あたりの大きさ」等の指導の期間にわたる児童の行動を追跡し、比例的推論の変容のプロセスを記録、分析する。 => 奈良県の小学校第5学年1クラスで、「単位量あたりの大きさ」の章の指導期間(12月第1周及び第2週:全11時間)にわたって児童の行動を追跡した。データ収集は、前年度に準備したように「指導前」「指導中」「指導後」を区別し、大学院生1名と共同で(途中2日間は数学教育研究者1名も加わった)アンケート調査やインタビューも取り入れて行った。その際、単に現状を静的にみるのではなく、教師が指導計画を立てる上でも相談にのるなどの関与を行った。フィールドノート、VTR、ATR、ノート類を収集し、全体の様子と観察児童の様子を記録した。 2.結果の分析を通して、比例的推論の発達を、教えられる知識との関係で明確化する。また、学級の指導の状況と児童の比例的推論の変容の様子から、変容に影響を与えた要因を考察する。 => 本年度のクラスを、1996年に収集した別のクラスでのデータと比較しながら考察を進めている。児童の比例的推論の発達は、本年度のクラスの方が顕著である。しかも、ビルドアップという思考方略が比較的みられる。ビルドアップは、児童が加法的な見方から帰一法などの乗法的な見方への変容を遂げる上で「Transitional」名性格を持つ方略として注目される。その理由を考える上で、本年度のクラスの指導の方針が、必ずしも「1あたり」ではなく「単位あたり」を強調したものであったことが挙げられよう。これは、比例的推論の発達を促す指導の方針として今後とも考察を続けていく必要がある。
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