研究概要 |
本研究において、打切りのある多変量データに対する正準相関分析法を開発し、様々な実データにそれを適用することによって、その有効性を明らかにした。正準相関分析法を回帰分析法の一般化(一方の変量集合が一変量のとき、線形回帰分析に帰着するという意味において)と捉えることによって、打切りのある多変量データに対する正準相関分析法の開発を行なった点が本研究の大きな特色である。生存時間データに対する回帰分析法としては、線形回帰分析と共にコックス回帰分析がよく用いられる。そこで、本研究において、線形回帰分析の一般化としての正準相関分析とコックス回帰分析の一般化としての正準相関分析法の開発を行った。 線形回帰分析の一般化としての正準相関分析を開発することの本質は、打切りデータに基づいて、2変量間の共分散構造の推定法を開発することにある。そこで、カプラン・マイヤー積分統計量に基づく推定量とその性質を明らかにし、情報量基準AICの打切りデータへの拡張を行った(鈴川、種市(2000)、Suzukawa, Imai and Sato (2000))。 コックス回帰分析の重要性は、生存時間と共変量の間の従属性をハザード(hazard)という概念を通じて解釈可能であることにある。本研究において、コックス回帰分析の一般化としての正準相関分析法の開発を行った。この分析法により、複数の共変量が複数の生存時間のハザードに与える影響を総合的に評価・解釈可能であることが、実データへの適用結果やシュミレーション結果により確認された(Suzukawa and Taneichi(1999))。
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